北京に大興国際空港がオープン
北京に大興国際空港がオープン
2019年9月25日、中国は北京に新空港となる北京大興国際空港(PKX/ZBAD)が開港しました。
北京では既に世界第2位の旅客数を取扱う北京首都空港(PEK/ZBAA)と北京南苑空港空港(NAY/ZBNY)が運用中でしたが、大興空港の開港に併せて南苑空港は閉鎖となり、今後は首都空港と大興空港が北京の旺盛な需要を支えていきます。
大興というのは、北京市大興区から取られているようです。
ターミナルビルの形状は完成したものと少し異なりますが、北京全景の位置関係は以下のとおりです。
すごいぞ!中国政府のイニシアチブ!
初めに2つ目の大規模な空港の必要性が持ち上がったのは、北京オリンピックの開催された2008年で、この時既に2012年には首都空港がいっぱいになってしまうという予想が立っていたようです。
実際に建設が許可されたのが、2014年12月とのこと。
それからたった5年しか経過していない2019年9月に開港させてしまうとは、どれだけ政府の意志が強かったかがうかがえます。(この点は、1999年に香港空港を移転させたイギリス政府もすごい!)
さらに、2025年までに7500万人を取扱う空港として拡張していくようです。
これは、現在日本第2位の旅客数を誇る成田空港の4000万人をはるかに超える数字で、現在の香港空港や上海浦東空港とほぼ同じ数字です(羽田空港の取扱い旅客数は2018年で8700万人)。
浦東空港をもう一つ作ろうとしていると考えると、すごいですね。
また、建設期間を比較してみると、成田空港開港は1978年5月に対し、政府が首都圏の第二空港建設を検討し始めたのは1962年です。
建設重機の性能や航空の重要性など時代は大きく異なるとは思いますが、日本においては現在でも5年で完成させるというのはかなり難しいのではないかと想像します。
今後の棲み分け
首都空港にはLOTポーランド航空を除いたスターアライアンスが継続して就航し、大興空港にはスカイチーム、ワンワールドの数社、LOTポーランド航空が移転したそうです。
しかし、日本路線については現時点では移転は発表されていないようですので、今後も首都空港に発着するようです。
日本では、ターミナルごとにアライアンスが集結するということは見られるものの、空港別にアライアンスが集結するというのはありません。
東京と大阪には大規模な空港が複数存在しますが、利便性が明らかに異なるので今後も航空会社が空港別に終結することは不可能に近いでしょう。
一方で、航空会社に対し移転を促すという意味において、既存の首都空港とさほど利便性が変化しない大興空港への移転は、賛同を得やすかったことでしょう。
日本では、初めにJALが成田空港第2ターミナル建設に、その後ANAが羽田空港第2ターミナル建設に意欲的でした。
羽田空港の再国際化が決定し政府としても国際線増強を目指していることから考えると、ANAが羽田空港に資本を投下したことが正解だったように映ります。
開港時点の運用
初期の計画では滑走路は8本でしたが、現在運用を開始している4本の滑走路も既に方位が変更されていますので、今後も変更の可能性があります。
現在運用中の滑走路は、以下のとおりです。
建設中の滑走路(←1750m→)17R/35L(←760m→)17L/35R(←2380m、メインターミナル→)01L/19Rの三本の平行滑走路と、11L/29Rの計4本が運用されています。
このうち、35Lと01Lへは著しく悪い天候下でも着陸可能なCAT3のILSが整備されていて、11Lには着陸のための施設は設けられていません。
01L/19Rは主として着陸に、11Lは主として出発に、17R/35Lは主として到着に、17L/35Rは主として出発に使用されるとのこと。
今後も拡張が楽しみな空港です。