香港国際空港について調べました
香港国際空港について調べました
香港国際空港が、旧啓徳空港から移転したことは航空に少し関心がある方なら説明の必要はないでしょう。
そして、この空港が1999年の香港のイギリスから中国への返還に合わせて急ピッチで建設されたことも、ご存知の方も多いと思います。
この香港が今、また大きな変革を迎えようとしています。
この動画は、2011年に公開された2030年へ向けてのマスタープランです。
羽田空港の再国際化、4本目の滑走路運用開始が、2010年のことでした。
Hong Kong International Airport Master Plan 2030
動画では、以下の2つの選択肢が検討されたと説明しています。
選択肢①2本の滑走路のままで、コンコースや駐機場を新設する。
選択肢②3本目の滑走路を建設し、ターミナル2を拡張するとともに、より大規模なサテライトを新設する。
選択肢①のままでも年間発着回数42万回に対応可能としていますが、これでは2020年には満杯になり香港の地位を維持していくためには不十分、との結論のようです。
昨今のコロナウイルスの影響が香港空港へ及ぼす影響は甚大なものでしょうが、42万回という数字では将来的に満足できるものでないことは、明らかです。
アトランタは87万回、シカゴも86万回、あんな大規模な新空港を作っている北京も59万回ですからね。
香港国際空港の位置関係
香港国際空港と周辺の空域は、以下のとおりです。
中国本土の海岸線と香港FIRの境界線が、ほぼ同一です。
周辺は、広州FIR、台北FIR、マニラFIR、三亜FIRと隣接しています。
ここで、マカオ国際空港について。
滑走路は1本なのですが、どちらの方向に離陸するかによって出域するFIRが異なるという、面白い空港です。
日本と香港を結ぶ航空路
日本から香港へ向かう便は、通常ELATOから入域します。
反対に、香港から日本へ向かう便は、ENVAR又はELATOから出域します。
ENVARに接続する航空路M750は、RNAV5適合機のみが飛行可能です。
さらに、北西方面への一方通行です。
一方、ELATOに接続する航空路A1は、すべての航空機が双方向に飛行可能です。
A1は香港~台北~鹿児島~紀伊半島を結ぶ航空路で、M750はそのすぐ南側をずっと平行に走っている航空路です。
香港国際空港の滑走路配置
香港国際空港は、2本の滑走路を有していて、その間にターミナルビル、サテライト、コンコースがあり、南側の滑走路の更に南側に貨物地区が配置されています。
公示されているのを見つけることはできませんが、2本の滑走路は1310m程度離れて配置されていて、この場合Dependent approachであれば実施できるように見受けられます。
ところが、空域の関係からだろうと推測しますが、通常は同時進入は実施されていません。
滑走路運用パターン
滑走路の運用は、夜間も含めて風向きにより以下の2つのパターンが選択されます。
旅客便は、北側の滑走路(07L又は25R)へ到着し、南側の滑走路(07R又は25L)から出発します。
貨物便は、駐機場が南側の滑走路より更に南に位置しているので、到着も出発も南側の滑走路(07R又は25L)を使用します。
騒音軽減の観点から、07方向を優先的に使用するとしています。
とっても窮屈な空域配置
滑走路07Lに進入するのにも、滑走路07Rに進入するのにも、LIMESという空港まであと10マイル程度という地点まで同一の経路を飛行します。
この後に07Lと07Rに分かれながら同時に進入するのは、難しそうです。
その後ILS進入を行いますが、広州FIRとの境界線まで2マイル程度しかない地点を飛行していきます。
滑走路25方向使用時も同様で、滑走路25Rに進入するのにも、滑走路25Lに進入するのにもTUNG LUNG VORまで同一の経路を飛行します。
したがって、この後に25Rと25Lに分かれながら同時に進入するのは、難しそうです。
今も昔も要であるTUNG LUNG VOR (DVOR / DME)
ちなみに、飛行経路の要となっているTUNG LUNG VORは、google mapsで見ると離れ小島の山の上に位置していて、隣にヘリコプターの離着陸場を発見することができます。
このVOR、実はあの旧香港空港である啓徳空港の滑走路延長線上に位置しています。
当時は、RNAVやRNPは広く使用されていなかったでしょうから、今よりもっと要として機能していたのでしょうね。